両親は同郷なので

母の実家はタクシーで30分くらいの距離だった

1ヶ月に1回は母と泊まりに行っていたと思う

 

その頃、公営の2Kである母の実家には

祖母と母の兄夫婦が3人の子供と住んでいた

私は年上の従姉2人と遊べるのが毎回嬉しかった

いちばん下の男の子は私の1つ下だった

 

日曜の朝に目覚めると憂鬱だった

午後には帰らなければいけないからである

従姉と遊ぶのも楽しかったが

何より大好きな母方の祖母のそばにいるのが嬉しかった

私は天井の染みをじっくりと目に焼き付ける

よく預けられた小さい頃、夜になっても寝つけずに見つめた天井で

染みにもなかなか馴染みがあった

そして帰りのタクシーから見る景色も

ため息をつきながら惜しむように眺めた

 

自宅に着いて父方の祖父母が笑顔で出迎えてくれる頃には

私の憂鬱はいつもスッキリ晴れていた

祖父は向こうの祖母は元気だったか訪ね、

祖母は夕食のメニューを教えてくれた

ホームドラマのような日常生活に戻るのは

穏やかな安心そのものだった

 

眠る前に楽しく遊んだ事を思い出す

泊まった翌朝、私はいつも従姉に言っていた事があった

「今日も泊まって明日もみんなで遊びたい」

従姉達は決まって

「うーん明日から学校があるからね…」

「そうだね学校に行かないとね」

小学校に通う事に不安がある私は

行きたくないけど行かなきゃいけない所だと再確認した

従姉の様子からは決して通学を楽しみにしているようには見えないからである

行きたくないのに仕方が無いから行く従姉達は

とても大人びて見えた

 

上手く伝わったか分からないが

この事を母にも訊いてみた事があった

母の答えは

「学校に通うのは子供の仕事でしょ?

学校に通えない子供もいるのに何言ってるの

バチが当たるよ」

発展途上国の子供の新聞記事を見せられてもよく分からないが

面倒なので頷いた

私も頑張らなくてはと自分で自分に言い聞かせて眠りについた