「あのね、あんたの両親は…
お父さんはヤクザで…お母さんは風俗嬢だった」

私の両親に騙されたと言う母の妹が
12年前、私に打ち明けた話である

父に関しては
さほどビックリしなかったのを覚えている
なぜならいくつかの理由と
いくつかの思い当たるフシがあるから

理由としては
父の体には刺青が入っており
母は父の いわゆる武勇伝 を楽しそうに語る事があった
その中には父の女グセの悪さの話題もあったが
寛大な心粋で許して来たと常々言っていた

思い当たるフシとしては
子供時代の遠いおぼろげな記憶の中で
漠然とした疑問があったから

そしてそれは
叔母の告白から一気に去来する
あの場所はどこだったのか
あの人は誰だったのか
あの言葉の意味は?
あの表情の意味は?
なぜ私はこんな仕打ちを受けなければならなかったのか

ショックと言うより
疑問が解決されていくたびに納得してしまう
反面教師にして来たからだろうか

でも私の子供達はそうではないかもしれない
自分達の祖父母の事で悩むだろう
だから秘密にし続けるつもりだった
今年、子供達が疑問を持つまでは